ステラマギカ 砕けたブローチ-戻らない体-

 今までにない戦闘を強いられることになったステラマギカ。それは本来戦うこと前提で活動していないステラマギカにとっては悪戦苦闘の連続であった。辛うじて敵を追い払うことはできたが、優二とステラマギカは満身創痍の状態であった。

優二「か、体のほうは大丈夫そうかい・・・?」
ステラマギカ「な、なんとかね・・これで元の姿よりは体は丈夫になってるはずだから・・・」

 変身を解除する暇もなく現場から離脱した2人は変身解除のためステラマギカの変身が解れる姿を人に見られない場所を探す。だが、もはやそんなことを考えてる暇はなかったのである。

ステラマギカ「とりあえずこの姿のまま歩き回るわけにはいかないよね。どこかに隠れないといけないけど・・・」
優二「うん、でも民家の裏とか隠れられても人気のいる場所だとまずいし・・・」

「・・・ピキ・・・ッ」
突然2人の耳に何かひびの入ったような音が聞こえた。

ステラマギカ「うん?なに今の音・・・」
優二「う、うん。何か固いものを踏んだ気はしないんだけど・・・」

ふとステラマギカの胸元のブローチをみた優二が声を上げる。
優二「・・・ステラマギカちゃん!ブローチが!!」
ステラマギカ「え、大沢くんどうしたの・・・?・・・あっ!?」

「パキン・・・ッ」
胸元のブローチをみたステラマギカ。だが、その瞬間ヒビの入ったブローチは音を立て粉々に砕け散った。戦闘中にブローチにひびが入ってしまったのか、それとも別の要因でブローチが砕けてしまったのか。

ステラマギカ「う、噓でしょ・・・どうして・・・?」
座り込み砕け散った翠色のブローチのかけらを見て愕然とするステラマギカ。そして・・・

ステラマギカ「はっ、服が・・・ッ!」
ステラマギカの髪をいわいていたリボンが消え、金髪を下した状態の髪型となる。そしてステラマギカのドレスは服の形状を保てなくなり、ピンクのレオタードのように変貌する。

↑こんなぐわいに変化すると予想。

そしてレオタード調になった瞬間。ステラマギカの服は溶け出しピンクの粘液のように変貌した。
その姿はまるでピンクの粘液がステラマギカの体を拘束するかのような光景であった。


↑たとえるならこういう感じの光景。

優二「いけない!ステラマギカちゃんッ!」
とっさに優二はステラマギカの体を隠すようにステラマギカの正面に立ち、なんとか今のステラマギカの姿をさらさないようにする。

ステラマギカ「いやぁ・・・どうして・・・どうしてこんなぁぁ・・・」
粘液とかした服のせいでまともに身動きが取れなくなり、自分の今の体がさらされてしまう辱めをうけるステラマギカ。髪の色が金髪から黒髪に戻ろうとしてるため金髪と黒髪が混じったようなまだらな髪の色になり、表情は今までになく羞恥心に満ちた表情となっていた。
服であった粘液は徐々に変身前に美枝子が着ていた夏服のブレザーの形に変化していき、髪形も変身前のボブカットにもどっていく。

しばらくして物音が消え、優二はステラマギカのほうを向いた。
優二「大丈夫かい星城さん!?」
だが、振り向いた先にいた美枝子の姿に優二は愕然となった。

美枝子「う、うん・・・なんとか大丈夫みたい。あれ?どうしたの・・・大沢くん?」
自分の姿を見て愕然とした表情をしている優二をみて困惑する美枝子。
だがその直後美枝子は自分の発した言葉に違和感を覚える。
美枝子「あれ?私の声って・・・こんなハキハキした声だったっけ・・・?」

優二「星城さん・・・ちょっとスマホで今の星城さんの姿をとって星城さんに見せてたいんだけどいいかな?たぶん、そうしないと今の自分の状況を星城さんに理解してもらえないかもしれない・・・」
美枝子「う・・・うん」
今までにない優二の雰囲気と態度をみて美枝子は素直に写真を撮ることに応じる。

「パシャッ」
スマートフォンのシャッター音をが聞こえ、美枝子と優二の間にただならぬ空気が張り詰める。

優二「いい星城さん?何があっても驚かないでね・・・?」
しぶしぶ美枝子にスマホで写した写真を見せる。
美枝子「・・・な、なに・・・これ!!?」

そこには確かに美枝子のすがたがあった。しかしその肉体や顔立ちは変身前の美枝子よりも明らかに成長していたのである。いや、成長したのではない。
今の美枝子は、精神や髪型はそのままなのだが、肉体や顔立ちなどの大きな見た目がステラマギカの時のものとなっているのである。
改めて自分の体を確かめる美枝子。自分で自分の胸や足を触り今の自分の状況をようやく理解した美枝子。

美枝子「ど、どうしよう・・・私、体が元に戻ってない・・・」
そして、目の前に落ちていた砕けたブローチのかけらを胸に当て必死に叫ぶ美枝子。
美枝子「お願いブローチさん!私の体を元に戻して!そうしない私、自分の生活ができなくなるかもしれないの!お願い応えて!ブローチさん!!」

泣きじゃくりながら今までにない大きな声で叫ぶ美枝子。だが、砕けたブローチは何も反応を示さない。そして途方に暮れる美枝子の手をつなぐ優二。

優二「とりあえず・・・星城さんの家に一緒に戻ろう。でも、学校とかそういうのもあるから家から出ていつまでも逃げるわけにはいかない。
 すまないけど、朝が来たら星城さんのお父さんとお母さんに事情を話そう。・・・ごめん、もう星城さんのお父さんとお母さんに星城さんがステラマギカであることを隠せそうにないよ・・・」
美枝子「ごめん・・・ありがとう・・・大沢くん・・・」

困惑と不安の気持ちの中、2人は美枝子の家に戻ることにした。

コメント

  1. この話の続きっぽいのを綴ってみました。
    http://magicalsam.s1001.xrea.com/archives/68

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  2. 拝見いたしました。「中学校の制服を着た酔ったコスプレ大学生がしっかりした中学生の肩を借りる奇妙な光景」というのがなんともシュールであり、悲しい部分だと思いました。本来人を助けているはずのステラマギカが世間的には、いわゆるコミケのコスプレ参加者のように映ってしまうのでしょうかねぇ・・・。
    泣き崩れる美枝子ちゃんの無力感がもうやばかったです。
    そして彗子さんの人柄とやさしさを感じましたねぇ。今までたくさんの人を助けた人のことだけあるなぁって文章を読んで思いました。

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