星影のステラマギカ 第1話 前編 図書室の出会い

1999年5月20日。

世間が世紀末やら何やらで盛り上がっている時代。
ここは、東北の都心部から少し離れたどちらかといえば畑や田んぼ、ビニールハウスが点在している〇〇県〇〇市〇〇町。
町の中に1つある中学校の図書館に1人、席に座って偶然図書館に置いてあった漫画版の「魔女っ子メ〇ちゃん」を食い入るように読んでいる中学2年生の女の子がいた。

彼女の名前は「星城 美枝子(せいじょう みえこ)」。
黒髪のボブカットの平均身長より若干小さめの女の子であり、俗に言う変身ヒロイン物の作品が大好きな中学2年の女の子である。

美枝子「すごい・・・!私が生まれる前の作品なのに、この時からヒロイン同士が戦う展開があるなんて・・・」

若干方言の混じった小さな声を出しつつ、黙々と漫画を読む美枝子。
その真摯に読む姿はただ漠然と魔法少女や変身ヒロインの作品を見るのではなく、その作品1つ1つを「詳しく知りたい」という気持ちに溢れていた。

本を読み終えた美枝子は本のあった本棚に本を戻そうとした。

角を曲がってちょうどその本棚に向かおうとした時、

優二「あれぇ・・・昨日はあったんだけど・・・ってウワッ!!?」

美枝子「ウワッ!?・・・お、驚いた・・・」

本棚を眺める1人の男の子が近づいてきた美枝子に驚き、しりもちをつく。
ビックリしたように叫んだ男の子に、アタフタする美枝子。

この少し芋っぽい髪型の男の子の名前は「大沢 優二(おおさわ ゆうじ)」
この先、目の前にいる女の子「星城 美枝子」にとって最も重要な存在となる中学2年の男の子である。

美枝子「だ・・・大丈夫・・・?」

優二「ああ、大丈夫大丈夫!でも、どうしよう。僕がこんなところにいたら他の奴になんて言われるかわかんないしなぁ・・・あ、その本、僕が借りようとしてた本だ」

美枝子「あ、これ?」


美枝子は自分が手に持っていた魔女っ子メ〇ちゃん」の漫画を優二に渡す。

優二「あ、ありがとう・・・」

美枝子「あ・・・あの、よかったらなんだけど一緒にその漫画を読んでくれないかな?こういうのを一緒に読んでもらえそうな子がクラスにいないから、読んでくれると嬉しいんだけど・・・」

優二「ほ、本当!?あ、じゃあ一緒に席に座ろうか?(本当にこんな事ってあるんだな・・・)」

まさか女の子とこんな出会いが本当にあるとは思ってすらいなかった優二は内心、満足げであった。二人は席について魔女っ子メ〇ちゃん」の漫画を読み始める。名前こそ聞いたことのある作品ではあったが、実際に作品自体を見るのも読むのも初めてであり二人は夢中で漫画を読み内容について語り続けていた。

本を読み終わり気が付くと下校の時刻が迫っていることに気づいた二人は急いで本を元の棚に戻し学校を後にした。
夢中であった二人だったが、校門で二人はまだ互いの名前を聞いていない事に気づく。

優二「そういえば君の名前を聞いてなかったね。名前、なんて言うの?」

美枝子「み、 美枝子・・・星城・・・美枝子」

優二「へぇ~星城さんかぁ・・・僕は、大沢 優二。えっと・・これからは星城さんって呼べばいいかな?」

美枝子「う、うん。じゃ、じゃあ・・・大沢くんって・・・呼んでもいいかな・・?」

優二「う、うん!それでいいよ!今日は本当に楽しかった!もしよかったらまた魔法少女のアニメとか変身ヒロインとかの作品の話しよう!じゃあね!」

美枝子「うん・・・じゃあね」

帰り道、自分と同じ趣味を持った生徒と巡り合え美枝子の表情は嬉しそうであった。
幼稚園の頃から変身ヒロインという物にあこがれを持ち、今でも「変身ヒロインになってみたい」というあこがれの気持ちを持っていた美枝子にとって恋人とかそういう関係ではなくても本気で趣味を語ることができる友人ができた事は本当に嬉しい事なのである。

美枝子「大沢くん、どんな作品の事とか知ってるんだろう?これから楽しみだね」

楽しそうな表情を浮かべながら、畑やビニールハウスのある帰り道を歩く美枝子。
その途中であった。

キィィィィーン

美枝子「あ、誰かが助けを呼んでる・・・!」

普通の人には聞こえない声が美枝子の頭の中に響く。
中学1年の夏から不思議な声が聞こえるようになった美枝子。
そして、それと同時に美枝子には常人にはない特別な力が発現した。
それは、助けを呼ぶ人を救うための力であった。.

美枝子「じゃあ、今夜もよろしくね」

自分の胸に手を当て、そこに声をかける美枝子。
その声にはモジモジとしながらも強い意志に満ちていた。

夜11時。美枝子はこっそりと自宅の2階の窓から外に出て助けを呼ぶ声が聞こえた場所から少し離れた人気のない草むらの中に入っていった。

美枝子「よし、ブローチさんお願いね」

美枝子が小さな声でつぶやき胸に手を当てる。
そして胸に手を当てたまま、こう唱えた。

美枝子「大いなる力よ、どうか私に人を助ける力を・・・!stella by starlight!(ステラ バイ スターライト!)」

すると美枝子の全身から光が溢れ服が分解されていった。そして胸から手を放すとその胸元には翠色の丸いブローチがその姿を現し、美枝子の姿と服装を大幅に変えていった。

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=7515296
https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=68105097
↑変身シーンの具体例はこちらを見てご想像いただけますと幸いです。

美枝子の体中からほとばしる光が消えると、そこにはピンク色のきらびやかなドレスと金髪蒼目のツインテールの少女の姿があった。
彼女の名前は「ステラマギカ」。星の魔法少女を意味するこのきらびやかな少女は美枝子が変身した姿であり、美枝子の住んでいる〇〇市において「人知れず通常解決できない事件やトラブルを解決してくれる」という都市伝説となってる存在であった。

https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=68656760
https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=66715980
↑ステラマギカに変身した姿。

美枝子に発現した特別な力。それは「自分が本当に憧れていた変身ヒロインという存在に本当になる事ができる」事であった。

ステラマギカ「ふぅ~人の気配はないね?よ~し、現場に行こっと!」

地面を軽く蹴るステラマギカ。するとその体は空高く舞い上がりステラマギカは助けが聞こえた場所へと飛び去っていった。
モジモジとしゃべる小さな小柄の美枝子が、明るく華やかな雰囲気と性格の魔法少女「ステラマギカ」に変身するという事実は決して気づかれてはいけない事でありその事を気づかれないよう常に行動している。
別に強大な敵と戦うわけでも、何か強大な運命や宿命に立ち向かう事もない、あくまでも人助けのために魔法少女をしている存在。それがこの現実世界に現れた本物の魔法少女「ステラマギカ」であった。

同じ時刻。

優二「星城さんはどんな家に住んでるんだろう?結構変身ヒロインの作品を知っててそうだけど、こういうのもやっぱりお父さんお母さんの趣味とかの影響もあるのかなぁ・・」

自分に声をかけてくれる女の子に巡り合うとは思ってもいなかった優二。
その事が何とも忘れられず机の上で窓の外を眺めながら物思いに更けていたその時であった。

優二「あ、あれ?空から人が降りてきた・・・いや、目の錯覚じゃないぞ・・・!」

偶然にも窓の外から、家の近くの公園に降りてきたステラマギカの姿を優二は目撃してしまった。
窓を開け公園の方を見るとピンクのドレスを着た女の子が草むらでキョロキョロしている姿を頭上から確認した優二は、とっさに窓とカーテンをほんの少し開けた状態で閉めその様子を黙ってみることしかできなった。

優二「まさか、あれって噂になってる魔法少女の女の子なのか?」

ピンクのドレスを着た金髪の子が何かつぶやくと、変身が溶けていき元の姿に戻った。

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=7543985
↑元に戻る光景はこちらの通り。

優二「え!?あれは・・・星城・・・さん!?」

美枝子「えっと・・・誰も見てないよね?早く家に戻らないと」

元に戻り早々に公園から立ち去る美枝子。
だが、迂闊にもその変身を解く姿を偶然にも見ていた人物がいた事をこの時の美枝子は全く知る由もなかった。

優二「う、嘘だ・・・こんな事あるわけが・・・でもこれが本当なら、僕は本物の魔法少女や変身ヒロインと仲良くなった事になるのか?それに本当にあれは星城さんだったのか?ダメだぁ・・・急な事が起こりすぎて訳が分からない!もう寝て明日考えようっと・・・」

今日、自分が初めて出会い仲良くなった女の子の隠された真実を知り今後どのように関係を築けばいいのか困惑しながらも優二は床に就いた。

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