星影のステラマギカ 第1話 後編 片思いの相手が魔法少女

翌日。

再び図書室に来ると互いに約束して帰った優二と美枝子は放課後図書室に向う。
優二が図書室に来ると、席にはすでに美枝子が座って待っていた。

美枝子「あ、大沢君。昨日はありがとう」

優二「あ、ああ!星城さん!こっちも昨日はとても楽しかったよ!アハハハ・・・」

何やら少し焦ってるような雰囲気の優二を見て美枝子が尋ねる。

美枝子「・・・大沢君?なんか緊張してる?」

優二「い、いやぁその・・・よ、よかったらなんだけど僕の家に遊びに来てもらえないかなぁ・・・あ!ごめん星城さん!会ってからまだ2回目じゃさすがにダメかぁ・・・」

美枝子「・・・いいよ?」

優二「え!?いいの?」

絶対に拒否されると思った自宅への誘いを快く引き受けた美枝子に優二は驚く。

美枝子「うん。やっぱり趣味の話とかは学校よりも別の場所で思いっきり話してみたいって思ってたから・・・嬉しい」

優二「あ、ありがとう・・・(絶対無理だと思ったのに、本当に素直な子だなぁ・・・)」

それからすぐ、二人は優二の家に向かい優二は自宅の自分の部屋に美枝子を案内する。

優二「とりあえず、狭い部屋だけど大丈夫かい?」

美枝子「大丈夫。誘ってくれてありがとう」

優二「と、とりあえず座布団もってくるね・・・!」

急いで持ってきた座布団に座る美枝子と優二。
優二は、迷ってはいたが昨日の事を打ち明ける決心をした。

優二「あ、あのさ星城さん。実は・・・昨日なんだけど・・・」

美枝子「うん、昨日何かあったの?」

優二「ぼ、僕・・・昨日の夜、窓から噂になってた魔法少女の女の子が空から飛んでくる姿を偶然見ちゃったんだ・・・」

美枝子「え!?本当に・・・?」

優二「うん、その机の窓から隣の公園に降りてくる姿をちょうど見たんだ」

美枝子「・・・そ、そうなんだ・・・」

変身した自分が空を飛んでいる姿をしっかりと見られていた事と、公園に着地した姿を見られた事に明らかに動揺を隠せない美枝子。

優二は勇気を出して美枝子に告げる。

優二「ぼ、僕は・・・その時、窓から見ていたんだ・・・そのピンクのドレスを着た子が草むらに入っていって、その子が・・・星城さんの姿になって戻った所をね」

美枝子「!!?嘘・・・!!?」

嫌われる事を覚悟して美枝子に問いただす優二。
おそらく自分の事を幻滅してしまったと思った優二に、美枝子が答える。

美枝子「・・・ごめんなさい・・・私、本当に見えない所で変身を解くようにしてたんだけど・・・大沢君は、しっかりと私が元に戻る姿を、見ちゃったんだよね?」

優二「うん・・・たぶん僕は、星城ちゃんに嫌われても仕方ないんだ。だけど星城さん、ちょっとこれを見てもらいたいんだ」

すると優二は、ポケットから10円玉を取り出す。

美枝子「それは?」

優二「今からやるのは古典的な手品なんだけど、この10円玉をこうやって片手で結んで持つんだ。そしてこっちの何もない手も結んで・・・えいっ!」」

そして、優二は結んだ両手を開く。

美枝子「10円玉が、移動した・・・」

優二「そう。何も入ってない手の方に10円玉が移動するっていう手品なんだけどこれはちゃんとしたタネのある典型的な手品にすぎない。でも星城さん、これならどう?」

美枝子「え?どういう事・・・あっ!?」

すると優二は両手を広げ、片手の手のひらに置いた10円玉をまるで瞬間移動させたように何もない片手の手のひらへ移動させた。

美枝子「どうして?これって10円玉自体が本当に移動したって事?」

優二「うん。これはテレポートとかって呼ばれる物なんだけど、僕はこれを小学校1年の時に気づいてから普通にやれるようになってたんだ」

美枝子「小学1年の時から、超能力を?!」

自分が特異的な能力を持っていた事を話す優二。
本当に超能力によって10円玉が移動したあの光景は、今の自分の変身できる力の事を知っている美枝子にとって信じられない光景ではなく、自分と同じような超能力を使える人が近くにいたという事実を確定させた出来事であった。

優二はさらに自分の能力の事を美枝子に語り始める。

優二「それこそ大きな荷物とかは移動できないけど、今のところ小学校のランドセルぐらいの大きさと重さの荷物ぐらいまでならテレポートできる事は確認してる。でもテレポートさせる姿を人に見せれば混乱しちゃうだろうから僕の両親にも見せられないんだ。現に小学1年の時に、自慢がてらに消しゴムをテレポートで移動させてみてもクラスのみんなからは手品やらインチキやら言われて本当にテレポートしたとは全く信じてもらえなかったからね」

美枝子「そうなんだ・・・そういう能力があっても、人前じゃ使えないのは私の変身も同じみたい」

優二「実際に超能力が使えても、根拠や原理が説明できない以上大勢の人達には怪しい物としか認めてもらえないからね。でも、星城さんみたいに本当に変身したり空を飛べる力のある子と知り合えて本当にうれしく思ってるんだ」

美枝子「うん、私も・・・嬉しい」

ほんの少し笑みを浮かべる美枝子。
そして優二は恥ずかしながら美枝子に告げた。

優二「そこでなんだけど・・・星城さん。よかったら魔法少女・・・いや、ステラマギカちゃんのお手伝いを一緒にさせてもらえないかな?」

美枝子「えっ!?お手伝い・・・?」

優二「うん。僕の力はあくまでも小さい物をテレポートさせることぐらいしかないけど、それとステラマギカちゃんの力が合わされば、もっと大きな力になってステラマギカちゃんの人助けを大きくサポートできるかもしれないって思ってるんだ」

美枝子「変身した私と一緒に、行動するって事?」

優二「あ、でもこれは僕の提案にすぎないから・・・星城さんがもしよければでいいんだけど・・・あーでも、いきなりこんなこと言われてもやっぱり星城さんは・・・」

少しの間を開け美枝子が弱弱しくも強気な表情で返答する。

美枝子「お、お願い!い、一緒に・・・変身してからの・・・サポートをしてくれない!?」

優二「ってええっ!?」

美枝子「わ、私も・・・自分の力を、もっと人を助けるために使いたいと思ってるから・・・お願い!協力して・・・もらえないかな・・・?」

優二「も、もちろん!!いやぁまさか星城さんからそういうことを言ってもらえるとは思ってなかったよ・・・」

美枝子「なんて言えばいいのかわからないけど、私は、大沢君と出会えたのは運命とかそいう物なのかなって・・・思ってるの。私と大沢君が大きな力があってそういう力のある人同士が同じ町に住んでいるっていう事が、一緒になって人を助けないといけない事なのかなって」

優二「うん。僕もなんとなくそう思う。何か特殊な力がある事に特別な意味があるのかどうかは僕にはわからないけど・・・仲良くしてくれる星城さんのために僕はがんばりたい!」

美枝子「うん!私も!!」

優二「あっ、じゃあこれからの事を話し合った方がいいかな?待ってて、飲む物も持ってくるから!」

美枝子「あ、ありがとう・・・!」

優二と美枝子の表情は非常に充実した笑顔になっていた。
この2人に待ち受ける運命は楽しくも辛い物かもしれないし、もしかするとあまり楽しくも辛いわけも出ないのかもしれない。
しかし、2人の「自分たちの持つ特別な力が人々を助けるためにあるもの」だという強い気持ちと「2人で力を合わせてこれから多くの人々を助けたい」という強い意志は本当の意味で一致した。

現実世界に現れた魔法少女「ステラマギカ」の出会いと思いの物語は、
今ここから始まった。

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